九月ウサギの手帖

うさぎ年、9月生まれのyukiminaによる日々のあれこれ、好きなものいろいろ。

藤井風を好きになると、なぜか切なくなる

前回書いた記事が4月の終わり、藤井風のことだったけれど、それから半年余。

ひとりのアーティストがどんどんと階段を上っていくのを夢中になって見守っているうちに、あっという間に半年以上経ってしまった。

その間に、永遠に続くかのように思えたコロナも、今は東京でさえ感染者が2桁ほど(夏は5,000人台までいったこともあったのに!)。

そんなコロナ渦が続いたなか(今も終わったわけではないが)、藤井風は新曲を発表し、次々MVも作り、日産スタジアムという巨大な会場で無観客のFree Liveを行い、大きく注目された。

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直後にアリーナツアー発表。私自身も、友人が奇跡的に当ててくれたチケットで(チケットは当然抽選)、初日の横浜アリーナにてライブを初体験!

その後、  NHKのドキュメンタリー番組に出演、GooglePixel6のタイアップCMにも出演、タイアップ曲の「燃えよ」のMVも発表……風くんがTシャツとジーンズでいかにも青春っぽく走り出すようなイメージを浮かべていた私の凡庸な想像を裏切り、架空の南国の王様のような出で立ちで、思い切りふりきった演出とダンスで、ファンを驚かせた。
マネージャーの河津氏曰く「風族の王様のイメージ」だと。まさに!
こうして時系列で箇条書きにしているだけでも、すごいなあと思う(そうそう、MISIAへHigher Loveの楽曲提供なんていう大きなこともあったし)。

さて、私が体験した10月2日の横浜アリーナ初日。
アリーナ席15列目で、私の眼がもっとよければオペラグラスなしでも、風くんの表情がよく見えたかなという距離だったが、まずまずの席で嬉しかった。
オープニングは「風よ」で、おお、ライブにはサックスを入れたのね、と思っていたら、風くん本人が吹きながらステージに現れのだった! その驚きと感動。
風くん、ほんとに実在したよ、同じ空間にいるよ、あの声に包まれているよと、ライブ中、終始幸福な思いに包まれた。
バックダンサー交えての「きらり」のダンス、終盤の「旅路」の時の一面の星空のような演出の美しさ......全体を通しては、凝った演出というよりストレートに歌を楽しむためのライブという構成で、あっという間の2時間弱だった。
風くんの「いいことにも悪いことにも執着しないように生きている」という言葉を胸に刻みつつ、会場の外へ出ると、びっくりするような豪雨。
立ち止まらないでください、という会場のアナウンスもあり、日傘を雨傘代わりにして、友人とふたり走り出した。
この日、昼間は真夏のような暑さで、日傘をさして行ったのだ。
でも傘なんか何の役に立たず、屋根のある通路に出るわずかな間にびしょ濡れ……それも今となっては、あの日のライブを強く印象づける、よい思い出になっている。
さらに、10月2日はまだ緊急事態宣言中で、お店も早々に閉まってしまい、グッズ販売の列に並んだ4時前から、自動販売機のコーヒー以外何も口にしていなかったのだが、どこにも行くところがなかった。
でも友人と私は帰り難く、スターバックスでかろうじて買えたエスプレッソのグラニータ片手に、駅の改札口でまるで中学生みたいに30分も立ち話をしたのだった。

そして、11月28日は東京の代々木体育館でアリーナファイナルツアー。
ライブ配信があるというので、視聴チケットを入手した。
PCのヴァージョンが足りず(新調するのを先送りにしていたら、古すぎてヴァージョンアップできず:涙)、iPhoneの小さい画面でちっさい風くんを見つめつつ、音だけBluetoothBOSEのプレーヤーに飛ばしてという、やや不本意な環境だったけど......よかったです(操作の不手際か、回線のせいか、2度ほど落ちた:涙)。
構成は横浜アリーナの時と同じだったけれど、変化したところもあった。
MCがちょっと長くなっていたのと、「次の曲はワシも皆も好きな、きらり」と、きらりのところをアニメ声みたいな高い声で言ったりして。
横浜アリーナではアンコールはなく、思えば発表した曲は全部歌ってるし、コロナだしねと、納得したのだが、さすがにファイナルでは、風くんもいろいろ感慨深かったのか、ほかのバンドメンバーが去ってもひとり残り、右に左に移動して客席に向かって深々とおじきして、皆に向かっても拍手。
そして、ピアノを弾き、「燃えよ」の一節を歌って鮮やかに去っていったのが印象的だった。横浜アリーナから、成長したように映った(成長なんて、偉そうに言ってしまうけど)。
鳴り止まない拍手に「そんな、皆、手いたなるから、もうだいじょうぶやで」なんて言うアーテイスト、今までいただろうか。

あと、「へでもねーよ」のイントロでは尺八奏者による尺八の演奏が入り(横浜ではなし)、途中、配信の画面ではフクロウが飛んで行くという、嬉しいサプライズ演出もあった。


そんなわけで、Free Liveから3か月間、「風祭り」みたいな状態だった。
今はそれも終わり、年の瀬も近づき、何やら喪失感が......。
そうやってどんどんメジャーになって人気者になっていくのに、SNSでは飾り気のない言葉を発信し、ぽよんとした素の顔の写真がアップされているので(ほんとにどういう自意識なのか不思議なくらい、飾らない人)、やられてしまう人が増えていくのだろうなあと思う。

ツイッター上のファンの言葉をひろい、ブログなどを読んでいると、あるひとつの現象というか、特徴に気づいた。
楽しい、大好きの気持ちと同時に、切ないという独特の感情を持つ人がとても多いのだ。
このひとりの青年に心奪われている人が大勢いて、その感情移入の様子が尋常でない(笑)。それも、女性だけでなく、男性も。

 

恋人にするなら女性しか考えられない自分なのに(それは勘違いじゃないはず)万が一、風っちが恋人になってくれるとするなら(ああ、ここまで言ってしまうか)それで一生を風っちに捧げても悔いなし…な気さえする。もう何なんw。
これはいったい何が起きている? 

「藤井風を語る真夜中」より("風愛"に満ちたブログで、私も愛読してます)

kiyohisa0919.hatenablog.com

まさに「何なんw」、何が起きているのか?って感じですよ。
一番近い感情は、やっぱり「恋」なのだろうなあ。
皆、藤井風に、恋に落ちてしまっているのだ。
一緒にいると嬉しくて楽しいからこそ、離れた時が寂しい。
一緒にいても、離れることを考えると切なくなる、みたいな......。
好きなら好きなだけ寂しくなるような感じ。
私は、彼の素のキャラクターの可愛らしさ(言動がスキだらけなところ)に「恋」のようなものを感じ、音楽には深くて大きな「愛」を与えてもらっている......そんな気がするのだ。
何を言っているのか、もはや自分でもよくわからなくなってきた。
うーむ、無理に言葉にしなくてもよいのだろうけれど、的確な言い方はまだ探せず。
オリジナル曲はわかりやすい、いわゆる「ラブソング」がなく、やや抽象的だったり、内省的なものが多い。一方、カバー曲ではラブソングが多いのだが、そのことに意味はあるのか、インタビューでもしたいぐらいだ。

それから、思うのは、藤井風という人はまだとても若く、多くの人生経験を積んでいなくても、何か物事の本質をつかんでしまっている人なのだな、とも思う。

さらに、既存のメディアに頼らず、自分たち(風くんとマネージャーはじめ、スタッフ側)から発信し、自由に活動している様子などもとても新鮮に魅力的に感じられる。
その鍵を握っているのがマネージャーの河津氏。
風くんとは親子くらいに年齢差があるのに、横に並んでも遜色ないくらいのイケメン! 前に出てきてもうるさくないどころか、ファンに愛されている、なかなかに稀有な人なのだ。

とはいえ、何はさておき、やはりこれだけ人々を魅了するのは彼の音楽に力があるから。
ジャズミュージャンの菊地成孔氏は自身のブログマガジン「ビュロー菊地チャンネル」(有料)で、度々藤井風について言及しているが、最近ついに「何なんw」の楽曲解説をアップした。
「本人の言動がいろいろ注目されているけれど、楽曲自体も素晴らしい」と菊地氏。
私は楽器でもできないし、コード進行などは全然わからないのだけれど、かなり複雑な構成になっていることが何となくわかった。
普通なら繰り返しにするフレーズに、ちょっと変則的な音が入ったりして、ジャズ的なアプローチになっているのだそうで。
それも、風くん本人が緻密に分析的に構築しているというよりは、それまでの音楽の蓄積と、感性と勢いで作れてしまうらしい(もっと専門的な言い方だったけれど、私はそんなふうに解釈)。
その辺が、きっと飽きのこないところなのだろう(私は半年以上、ほぼ毎日聴いてる)。
デビューした当時、菊地氏の音楽業界の知人は、風くんのことを「アンファンテリブル」(恐るべき子ども)、「バケモノ!」(←褒め言葉)と話していたそうだ。

さて、前回のブログでは、「年齢的にきっと自分の方先にが死んでしまうので、風くんの活動を長く見届けることができない」みたいなことを書いてしまったが、それこそ執着の最たるものだなあ。でもって、その執着を作っているのは風くんのせいだよ、なんて思わないわけでもないが!
風くんが生まれた1997年、私はすでに十分大人だったわけだが、それから20数年後に、こんな素晴らしい出会いが用意されていたなんて、まさに奇跡。
自分のなかで、最近では時代を考える時、藤井風が生まれる前、生まれた後、みたいな感覚になっていて、もはやBC=before Christみたいな扱い(笑)。

だらだらと長くなってしまったけれど、風くんに限らず、ほかの人たちとの出会いもきっと奇跡なのだ。どんな素晴らしい出会いがあるのか、世界は未知。
そして、実在の人たちだけでなく、物語や映画のなかの人たちの出会いもあるし、音楽との出会いもあるし、人生はそう捨てたものではないのかも。
と、この年代になって、あらためて思う。
とりあえず、元気に生きて、次のライブも申し込みします。抽選、当たりますように!
チケット入手がこれだけ厳しいと、生きているうちに何回体験できるかわからないしね(と、結局、執着は抜けませんって)。

 

🌟「燃えよ」のツアーTシャツ。ツアーグッズを並んで買うなんて何年、いや、何十年ぶり? ステッカーとちょっとおふさげの付箋ががほしくて並んだのだけれど、1時間半も並んだら、そりゃTシャツも買っちゃう。しかしLサイズしか残っていなくて、身長163㎝で腕がわりと長い方の私でもすんごく大きい。つれあいが風くんとほぼ同じ180㎝なので、試しに着てもらったらLサイズがぴったり。ツイッターにTシャツ大きい! 178㎝細身の息子に着せたらぴったりだった、風くんが自分の私服を増やすために作っているのではw、なんていうのがあったけれど、まさに。
Lサイズの燃えよTは、いったい、いつ着ればよいのか?!
*180㎝のつれあいを見るたびに、風くんもこれくらいの感じの高さかあ、なんてしみじみ見たり、実際に言ったりしているわけですが、うるさがらないつれあいに感謝です(笑)。

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🌞10月2日の横浜アリーナの日、とにかく暑かった。なのに私は春秋もののミナ ペルホネンのスカートに、長袖のブラウスだったので、余計暑かった。なぜこのスカートにしたかというと、モスグリーン地にピンクで、HEHNツアーのイメージポスターと似た色合いだったから(誰にもわからなかったに違いない)。「ただそれだけで」した。

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