九月ウサギの手帖

うさぎ年、9月生まれのyukiminaによる日々のあれこれ、好きなものいろいろ。

人生でもっともすべきことは花見かもしれない   神代植物公園の桜たち

昨日、思い切って神代植物公園に桜を見に行った。
住まいと同じ三鷹市にあって、近いと思いつつもなかなか行けないでいた。
毎年、あそこの桜はすごいのだよなと思いつつ、平日は仕事だし、土日は何やかやと用事があるうちに桜は散り、去年、一昨年はコロナで何となくためらっていて......。
しかし、2年後には東京を離れるので、そうすると、今年と来年しかもう行く機会がないことに気づいたのだった。


三鷹市は広くて、直線距離だと近いはずなのだが、自宅からバスの路線をどうつないでいくか、なかなか難しい(植物園のHPには、鉄道の最寄り駅からの路線案内しかない)。
あれこれ調べて、バスを乗り継いで小1時間かけ......。
足を一歩踏み入れた瞬間、あまりの美しさにちょっと泣きそうになった。
散りかけかなと思っていたのだが、都下で多少気温が低いせいか、あるいは排気ガスなどにさらされず、ここで元気にいられるせいか、まだまだ花をつけていてくれた!

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神代植物公園の桜を見たのは、実はもう20年以上前のこと。
咲きこぼれるように咲いていて圧倒されたのだが、先のような理由で、三鷹市に越してきて10年以上も経つのに、桜を見に来たことは一度もなかった。

そもそも、私はあまり花見に行かない。
以前、井の頭公園にちらっと行った時、桜よりゴミの山の方が目に入り、こりゃダメだと思ったので、あの辺りや上野公園などには近づかないことにしている。
杉並区なら善福寺公園、都下ならこの神代植物公園がいいと思っている。
駅から遠く、土地鑑のある人しか来ないので、混み混みにならない。
都心でおすすめは新宿御苑。ここもかなりの人出はあるが、閉園時間が早いので、酒盛りなどする人も少なく、何より桜の種類が多く、「御苑」とあるだけに素晴らしく手入れされている(新宿御苑も来年こそは行きたい......)。

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神代植物公園の桜は染井吉野だけでなく、オリジナルの神代桜やら枝垂れ桜やら、とにかく多種多様。
巨大な老木から桜がぶわっと溢れかえるように咲いている様は、可憐というより雄々しいというか、凄みがある。
上の写真は、そうとうな巨木なのだが、iPhoneのカメラではスケール感が出ないなあ。
                   

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枝垂れ桜の根元には、ヒヤシンスが。


ひとりで手ぶらで行ったのだけれど、大人数でシートを敷いたりしての「宴会」でなければ、飲食もOKとのことで、来年はひとりでも誰かと一緒でもちょっと美味しいものを用意して、ボトルにコーヒーでも詰めて来ようと思った。

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桜色のソフトクリーム。でも桜味ではなく、バラソフト(ここはバラ園も見事)。

仕事だとか、疲れたとか、こうして、美しいものを見過ごして人生は過ぎて終わっていくのではないか......それは悲しいではないか。
人生でもっともすべきことは花見である!なんて、この日は思ったほどだ。
杖をついたおばあさんがひとりで来ていて、写真を撮るのを頼まれたが、こういう人も残りの人生であと何回見られるかわからないという思いがどこかにあるのではないか。
杖こそついていないが、もう若くはない私もそういう思いはある。
水村美苗さんの名作『母の遺産』のラストには、桜と人生の儚さを重ね合わせる描写があり、ことあるごとにその文章を思い出すせいもあるかもしれない。

桜が咲いたからと言って浮き足立ったり、やたら宴会騒ぎになるのが嫌いなのだが、こんなふうにしみじみ思う自分が、誰より浮き足立っているのかもしれない。

 

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何にせよ、咲いている時の爛漫な感じと、散っていく儚さが、何かと人にいろいろなことを思わせるのが、日本の桜。

🥀おまけ。神代植物公園は歴史ある植物園でとにかく植物の種類が豊富。
桜だけでなく、こんな可愛らしい花も咲いていた。

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アカバミツマタジンチョウゲ科)。このまんま、着物か帯の柄にしたくなる。

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桃の花も可愛い。赤に近い桃色、桃色、薄い桃色と、1本の木に3色もの花が咲いていた。

と、桜を愛でつつ頭の中では、藤井風さんの2ndアルバム「LOVE ALL SERVE ALL」からの新曲、「ガーデン」をはじめ、「まつり」や「やば。」(タイトルとは裏腹にしっとりした美しい曲)が頭の中で鳴っていた(笑)。
特に、「ガーデン」の詞の一節、「わたしのガーデン 果てるまで」なんて、本当にそのとおりだわと。
5月頃、バラが咲く季節にも行かなくてはと思いつつ、神代植物公園を後にした。

www.tokyo-park.or.jp