九月ウサギの手帖

うさぎ年、9月生まれのyukiminaによる日々のあれこれ、好きなものいろいろ。

「死ぬのがいいわ」のVisualについて騒ぎたい

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スタジアムライブ後、いろいろあってざわざわしていて.....ライブで使用された「死ぬのがいいわ」のこのVisualについてもっともっと騒がれてもいいのになあと思うので、私はひとりで騒ぐことにした。
とにかく、この映像は凄い。

海外で話題になっている「死ぬのがいいわ」のMVがないので、そのために撮影された側面もあるのかもしれないが、もう、これを公式のMVにしてもよいのでは?
スタジアムライブ当日、私はオペラグラスで風さん本人を見つめていたので、この映像に気づいていなかった。
自分が愚か過ぎて泣けてくるのだがーー部分に囚われると、全体を見ることができないという、いい例ですよ、まったくーーこうしてYouTubeにあげてくれたことに感謝。

全編モノトーンの映像、白と黒のなかにグラデーションと艶があって、深みがある。
1960年代ヌーヴェルバーグの映画をリメイクしたみたいな質感。
そして、ワンカットの撮影。
どういうカメラアングルなのか、技術的なことはわからないが、被写体とカメラとの位置が近いのか、風さんが画面から飛び出してくるような立体感がある。
初見の際は、振り付けの人がいたのかな?と思ったが、繰り返し見るうちに、動きが今までの風さんっぽいので、これは風さん自身の中から、即興的に出てきたものなのだろうと思うようになった。
その後、スタジアムライブ用に短時間で撮影されたというのをツイッターか何かで読んだので、ああ、確かにそういう勢いで撮影された映像なのだろうと確信(詳細はわからないが)。
監督は、今回のスタジアムライブ全体の映像と、「へでもねーよ」「旅路」「damn」の名作MVを手がけた山田健人氏。彼も天才!
登場するのは風さんひとりきり、それも上半身だけで、表情と手の動きで多彩な表現が3分程の中に詰め込まれている。
その揺らぐような表情と動きにもう目が釘付け、素敵すぎて吸い込まれそう、倒れ込みそうです。
「死ぬのがいいわ」の世界観が見事に表現されている。
こんな素晴らしいものを見られて、生きていてよかったです。
私も大好きなこの曲にMVがないので、もしこれから撮影されるとしたら、どんな映像になるだろう?と想像したことがあるのだけれど、これだけ映画やらいろんな映像が好きな自分でも、浮かばなかった(自分にあまり想像力がないから、いろいろ見たいのかも)。
せいぜい、ロケとかなしで、ピアノと風さんだけがいいのかな、くらい(それではライブ映像と同じ!)。
この映像は、虚な表情によるちょっとあやしい色気と、「死ぬのがいいわ」の歌詞に合わせてにっこり笑うという、やや狂気にも近い表現も含み、それでいて病んだ感じはなく、そこはかとなく面白くて美しい。
何より、大きな手がひたすら美しい。
手だけでなく、肩甲骨の動きもしなやかです。
ちょっと現代舞踊的なテイストもある。
もう、これは「何なんw」?!
これを引き出す山田監督って凄い(と何度言っても足りない)。
ふたりの間に、信頼関係がないと作り上げられない映像だと思う。
偉大な現代舞踊家ピナ・バウシュ(2009年逝去)はダンサーたちに振り付けを教える前に、「あなたのことを聞かせて」と語りかけ、ダンサー自身のことを知ることから始めたという。
「旅路」のMVでは風さんの故郷、里庄で撮影しているから、だから、あの映像が「あなたのことを聞かせて」になっていると私は勝手に思っている。
信頼感プラス、親密感もかなりあると思うぞ!
「まつり」や「grace」など作り込まれたMVも素晴らしいけれど、この「死ぬのがいいわ」は別の位置にあり、私の胸にぐさぐさ刺さった。
藤井風は歌とピアノだけでない、並外れた表現力を持っていて、やはりマネージャーずっず氏が言うとおり「普通の子(人)」じゃない。
思えば、昨日今日身につけた表現力ではなく、YouTubeでコツコツ何年もわたって動画をあげていたからこそだよね。
この魅力的な奇妙さ、暗さも失わないでほしいなと思う。
(graceがあまりにも光り輝いていて、ピースフルなので、悟り切るのは早いのでは?というのが正直な気持ちだったので。もちろんgraceは曲もMVも大好きなうえであえて)


ちなみに、「旅路」BTS(Behind The Scenes)のなかで、「19歳の山田健人にオファーしたいというトチ狂った話がきて......」という言葉を聞いて、えっ、山田監督ってベテランっぽく見えるけれど19歳の天才少年だったの? 風さんより年下??と、その言葉の意図を汲み取れなかった私でした(もちろんその後すぐわかったけれど。実際は29歳だった)。
そして、BTSを撮影したエリザベス宮地さんは映像の編集の天才だと思う。
ミッチャムの鍵がない、というところから入るなんて。
そしてそれを嬉しそうに言うずっず氏。
山田監督とはまた違う次元で、風さんのことをわかり尽くしている感じ。
宮地さんによるアリーナツアーのBTSもほんとに楽しかった。
風さん本人の人柄と才能が、敏腕マネージャーずっずさんはじめ、こういう天才クリエイターたちを呼び寄せるのだろうなあ。
話がそれましたが。

「死ぬのがいいわ」について騒ぎたいと言ってるわりには、語彙力が及ばず。
とにかく、映像を見てもらうのが一番ということで。

で、ツイッター上のざわざわは、この世界は、悟りとは程遠いカオスな人間たち(自分も含め)の集まり故のことで......。
ファン同士がSNS上で指摘し合うのはやめようという、ずっず氏からの呼びかけがあった。
これは至極真っ当な呼びかけだと思う。
皆、風さんが好きすぎて熱くなったりする人が多いかもだけれど、やはり過剰になるのは健康的ではない気がする。

 

見返り
求めるから
いつも傷ついて終わる

ご褒美
欲しがるから
いつも腹が減ってる


「特にない」より


と、HEHNのなかで、すでに風さんが歌っている。
公式にアップされた映像や画像は営利目的に「転用」するのでない限り、自由に使っていいなんて、なんて寛大で自由なのだ。
だってほら、某巨大アイドル事務所みたいに閉鎖性的になってしまっては困るし、嫌だ。そんなのつまらない!


また、風さんがYouTubeにあげていたマッシュアップの曲の歌詞に、差別的表現(当事者である作詞者本人が書いたそうだが、私はその詳細はわからない)があり、そのため削除されたということもあり。
風さんが書いた歌詞ではないにせよ、素早く対応して自分の言葉で(それも英語で)、いたらなかったことをツイッター上で表明したのはよかったと思う。
例えば、こういうことかな。
日本人があえて皮肉っぽく自分のことを「黄色い●●」(●●は何でもいいけど)と歌ったら、それは自虐ネタとして受け止められるけれど、違う人種の人に歌われたら、それはまた違う意味合いを持つーーというような解釈でいいのかな?

藤井風の音楽は世界に広がっていくべき音楽だと思う。
こんな素晴らしい音楽をこの国だけに閉じ込めておくのはもったいなさすぎる。
現代はネットで軽々と国境を超えていくし、実際、もう広がっていきつつある。
SNSは海外ファンとのつながりで重要なツールになると思うので、慎重になりつつも、これからも楽しく活用してほしい。
それにしても風さん本人が、エゴサーチしてツイッターをぽちぽち拾っては見ているような気配もあるので(っていうか、全部ではないにしても実際に結構見てる)、あんまり気にせず、ゆったりしてほしいなと思う(けど、見てしまうのはわかる)。


*追伸*
話は変わって、今年もあと2か月を切った。
年頭、「藤井微風」と書き初めしたのは誰だっけ?
もう熱風&強風で私は吹き飛ばされそう。
スタジアムライブが終わったと思ったら、アリーナツアーの当落が待っているし。
今年の紅白は「まつり」で決まりだ!と思っていたが(すでに出場する前提で考えている)、「grace」かもしれない。
「grace」は、何かひとつの大きな区切りというか、
”藤井風、始まりの終わり。次の第2章へ”
みたいな印象を受けている。