www6.nhk.or.jp この記事(↓)を書いた、同じ15日の夜、NHKスペシャルで「車中の人々 駐車場の片隅で」という番組が放送された。下記の記事は、15年前に書いたものの再掲で、イギリスでの問題を取り上げたのだが……。
日本はこういったイギリスの状態に追いつくどころか追い越した感すらあるなあと見ながら思った。海外の事情と簡単には比較できないが、ここまで底が抜けたのか、と。
番組では、今、駐車場や道の駅などで、車中生活をしている人が見られるようになったことを報じていた。失業や貧困、年金では生活きでない、DVなどさまざまな理由で家を追われた人たち。
NHKは、1000か所以上もの道の駅を調べ、およそ3割弱の人たちが車生活を送っていることがわかったとのこと。
「生活保護を受ければいいと言われるが、車を持っているとダメだと言われて申請できない」と答える人もいた。車を手放せばすぐに受けられるかというと、そういうわけでもなく、相変わらずの日本の行政の硬直ぶりが……。
また、年を重ねるうちに職場でうまく仕事をこなせなくなり、職を転々とし、人間不信になって人と関わることがいやになった人も。
地道にこつこつ真面目に働いていればそれなりに報われたのは昔のことで、今はやたらとコミニュケーション能力とやらが過剰に求められる。
そして、生産の現場より、サービス業的な職業が増えているのも事実。
それに適応できない人、息切れしている人が多い気がする。Twitterでも蕎麦屋の求人で「一日中誰とも話さなくていい仕事」の文言で募集したら、たくさん応募があったというのを読んだばかりだ。
車中生活で年金10万しかないので、家賃を払えないというお年寄りがいたが、他人事ではないよなあ。
20代の頃、高級ホテルに勤めていたという80代の男性。当時の写真を大事に持っていて、その写真には胸をつかれた。モノクロの写真に写っているのは、凛々しく健康的な青年の姿で、決してはじめから人生をあきらめてしまった人ではなかったのだ。
社会学者の宮台真司氏が「日本は共同体を維持することをきちんとやってこなかった、そのツケが回ってきた」というようなこを言っていたが、そんなことも思い出した。
助けを求められず、孤立を深め、最終的に死に至ってしまうケースが、特に日本には多いような気がする。
「世間体」みたいなものばかりが根強く残って、もう「共同体」なんか壊れてしまっている感じ。
こういう国になってしまっていることを見つめつつ、そうは言っても、助けを求める「強さ」と、どこにどうアクセスすればいいか、考える力や情報力が必要なのだとあらためて思うのだが、そこまでたどり着けないから貧困なのだよなとも。
NPOの人たちも、どうやって支援すべきか模索中らしい(声をかけても支援を断られることが多いそうで)。
私も自分の生活を維持するのに精一杯で何もできないが、とにかく今の政権は酷いと思う(毎回、選挙には行っているのだけれど……)。
政権が変われば何もかもよくなるとは決して思っていないが、消費増税をはじめ、教育にお金を使わない、力も入れない、イベント的なことばかり盛り上げようとする現政権の姿勢には激しく不信感、というより、怒りを抱いている。
「普通」の生活をしていると、こういう生活を強いられている人たちの存在はなかなか目に入ってこないので、知ることができてよかったと思う。丁寧な取材を重ねたNHKならではの番組だと思うので、これからもがんばってほしい。