九月ウサギの手帖

うさぎ年、9月生まれのyukiminaによる日々のあれこれ

小さなアトリエ ”&Robe” のバッグとスカートと、ささやかな出会いと

昨年、&Robeという洋服のブランドをSNSでたまたま見つけた。
HPを見ると、デザインも制作もたぶん、Lumi Matsudaさんという方がひとりですべてやっていらっしゃる様子(もしかすると、お手伝いする人がいるのかもしれないけれど)。
作られているものは、リネンやコットンなどの自然素材の服や小物で、「ナチュラル系」ブランドと言っていいのかな。
私がこのブランドに惹かれたのは、服に「物語」があること。
「手仕事のブラウス」という美しいリネンのブラウスの説明には「中世フランドル地方 お裁縫やレース編みの午後 女性たちのお喋りがきこえてくるよう・・」というエッセイのような一文が添えられており、その後にブラウスの説明が続く。
オンラインストアのサイトでは、服の説明はあるけれど、その服のイメージを喚起するような文章だとか、あるいはどういう過程を経て作られたか、わかるものは少ない。
服に限らず、モノでもお菓子でも、私は「物語」が添えられているものが好きなので、銘菓のリーフレットなどは熱心に読んでしまうタイプ。

&Robeで初めに購入したのは、服ではなく、布のトートバッグ。
ウィリアム・モリスがデザインしたウサギと植物柄をフランスのテキスタイルメーカーが織り上げたそうで(タペストリーなどに使われるゴブラン織)、その布を&Robeさんが輸入し、トートバッグに仕立てたというもの。
裏側はナチュラルな色合いの無地のリネン。
もともとモリスを愛しているので、この柄に一目惚れ、ブログタイトルが「九月ウサギの手帖」で、うさぎ年の私としては買わずにはいられなかった🐇

持ち手に下がっている金色のチャームはおまけで付けてくれたもの。
もちろんウサギのシルエット。
可愛くて、ずっと付けています。
発送時の包材も美しく繊細で、手書きのメッセージカード入りで、大事に取ってある


着物のリユースのお店に持って行ったら、このバッグを褒められたことがある。
さすが、着物好きな人は和洋限らず、「布」に注目してしまうのだなと思った。

次に購入したのは、リネンのスカート。
これがまたネーミングが素敵で「修道院ティータイム・スカート」
丁寧に保管され100年程経っているアンティークのカットワークのリネンクロスを、現代の上質なベルギーリネンに合わせたもの。

逆光でグレーっぽく写っているけれど、スカート地はオフホワイト、
エプロンように仕立てあるカットワークの部分が100年前のアンティーク・クロスで、
真っ白。
100年前のものとは思えないほど状態がよく、どこで眠っていたのだろうと
想像を掻き立てられる。

 

中世修道院の清美な手仕事に思いを馳せて・・

中世からある古い技法の施された
アンティークリネンを探し求めて
やっと出会いました
丁寧に保管され100年以上
海を越えて届いたのは
美しくも愉し気なカットワーク
一度も使われないまま
真っ白のリネンクロスでした
それを手にした時
リネンのなかでも極上の品質
現代のベルギーリネン
と合わせたいと思いました
なによりも
アンティークリネンを緊張せず
日常的に纏えることと
この美しい手仕事をされた方へ
リスペクトを込めて
極力ハサミを入れないで仕立てること
を考えて・・

纏った時、膝にクロスがふわっと載り
まるでお茶会のマナーのように素敵に映る
このティータイム・スカートに纏まりました

ゆっくり丁寧に
唯一無二の時間でした


これまで100年以上の時を
丁寧に保管されていたリネンクロス
どんな景色の
どんなお家(修道院?)に住む
どんな方だったのでしょう

いろいろ想像しながら、旅立つご縁がありましたら、
その方の日常に寄り添い
末長く、ご愛用戴けましたら
とても素敵なことだと思います

着心地よくとても楽なスカートです
私は、シンプルに
ホワイトのカットソーでワントーンにしたり
ブラックやグレーのタートルセーター
クリスマスにはレッドやグリーンのニットに
レースアップシューズやカラータイツ
大判ストールなどと合わせようと思います

ーー&Robe HPより

と、HPには、作り手が巡らす想いからコーディネート案までが丁寧に綴られていた。
このスカートはもう扱っておらず、上記の文章もすでに掲載されていないのだが、素敵だったのでコピペしておいた。

and-robe.com

現在はリニューアル中のため、HPの掲載数は絞られていますが、もう少しすると
秋に向けて新しい服が登場するそう。
TOPページを遡ると、今までのいろいろな服や小物が
見られます。


確かにこのスカートはウエストを紐で調節できるので楽だし、ポケットも付いているのが◎。
縫製も丁寧でしっかりしている。
流行のデザインだけれど、生地がペラペラで数回着ると危うくなるような、あるいはすぐに飽きてしまうファストファッションの服とは、対極にある。
ファストファッションに対抗するブランドとして、”スローファッション”と呼びたい!


「トップスもホワイトにして」というのも素敵だけれど、全身白は意外と派手になるので、試したことはない。
また、レッドのニットも持っていないので、黒いものと合わせるくらいのことしかしていないが、寒くない季節だったら、このTシャツと相性がいいと思っている。

昨年春、マチス展のグッズで販売されていたもの。
扇形の黒い柄は、マチスがデザインした司祭のケープの図案。
十字架に、麦の穂らしきものや葉っぱがデザインされている。
司祭のケープ図案Tシャツ × 修道院ティータイム・スカートというコーディネート。
⛪️私は修道院で作られているお菓子だとか、修道女の制服だとか、修道院や教会グッズが無性に好きで👼
(と言いつつもキリスト教信者ではないのだが......)

で、このスカートも履いていると、必ず「あら、素敵ね」とか「どうなっているの?」などと聞かれるので、その度に「この部分だけ、アンティークのクロスで......」云々と、そして、&Robeというアトリエの方がコツコツ作っていることを説明している。
素朴なスカートで、そんなに目立つ服ではないと思っていたけれど、かなりの割合でいろんな人に聞かれる。

🐇そして、ウサギ・バッグに関連して話は続きます。
大阪に引っ越しして、ひとりで初めて映画を見に行った時のこと。
テアトル梅田のある、梅田スカイビルタワーのスコーンと開けた中庭のベンチに座り、上映までの時間をつぶしていたところ......。
「ちょっと話しかけていいですか?」と同じベンチの、少し離れたところに座っていた、同年代とおぼしき女性に声をかけられた。
場所を聞かれても、大阪のことはわからないのよね〜と思いつつ、何かと思ったら、私が持っていたモリスのウサギのバッグを見ながら「素敵なバッグだと思って」とのこと。
そこで、また私はひとしきりウサギ・バッグについて解説。
そこから「どちらからいらしたんですか?」という話になり、自分は先月東京から越してきたばかりで大阪のことは何もわからないことを伝える。
その方は、大阪生まれの大阪育ち、現在も大阪在住とのこと。
そんな世間話やら何やらを少しした後、「じゃあ、またどこかでお会いできたら」とその方が言うので、いやいや、人の多い大阪で、どこかでお会いすることはそうそうないだろうと思い、私の方から、じゃあメールアドレスでもと切り出し、LINEを交換した。

まだ東京にいて働いている頃だったら、いつもあくせくしていたし、本来私は人見知りなので、さらっとその場で別れただろう。
大阪に越してきて、友人は全員関東にいて人恋しかったのかもしれず......。
「またどこかでお会いできたら」は社交辞令だよねと後でちらっと思ったが、LINEを交換後、その方から「フレンドリー&お節介のザ・大阪人ですので、大阪をご案内しますよ」というメッセージをもらえたのは嬉しかった。
そんなふうに声をかけてくる人がいるというのも、東京より、大阪の方がちょっぴり人ととの距離が近いのかもと思った。

実際に少し経ってから、本当にまた梅田で待ち合わし、ランチをした。
互いにパン好きで、美味しいパンを求めてパン屋巡りをするという共通の趣味があることもわかり、大阪や京都の名店をいくつか教えてもらった。
何でも話せる親しい友人とまではいかなくても、ごくたまに一緒にランチする知り合いという、ゆるーいつながりができたことになる。

というわけで、このウサギ・バッグが、こんな偶然の出会いをもたらしてくれた。
普通のバッグでは、なかなかないことだ。
ティータイム・スカートも必ずと言っていいほど興味を持たれるので、見た人に何か特別な印象をもたらすブランドなのだろう。

大量生産とは縁遠いブランドで、その都度企画し、生地がなくなければ終了、また次のシーズンへ、という緩やかなサイクルのため、いつもオンラインストアに豊富に品物があるわけではないが、逆にそこが新鮮。
そして、サスティナブル!
スカートだけでなく、パンツやブラウス、エプロンドレス、コート(その名も羊飼いのワークコート」)などもあり、どれこれもぜーんぶほしくなってしまうけれど、賃金労働をしていない今、あれもこれもは無理だなあと、時々HPを覗くだけにしている(ハイブランドのような高額ではないが、かといってユニクロのように手軽な金額ではなく、つまり質に見合った適正価格)。
でもとりあえず、今はこのバッグとスカートがあれば満足。
いくつになっても、このふたつのアイテムは身に付け続けるつもり😊


💫繊細で素朴で、小さなアトリエのブランドだけれど、強い力を持っている不思議なブランド、 ”&Robe”。
長く続いてくれますように。