*今回のライブのイメージ画像。公式サイトからお借りしました。
日産スタジアムでの藤井風のライブ、 "Feelin' Good" が8月24日、25日に開催された。
先行も二次抽選も外れた私は、直前のトレード抽選は見送り、ディスクがきっと発売されるだろうからと、それまでおとなしく待っているつもりだった。
それがなんと、24日当日に無料の同時配信があるという嬉しいお知らせが!
*配信はまだ公開中、終了時期は未定とのこと。
海外のフェスなどではそんな形もあるらしいが、日本でのライブでは初めての試みだったのではないだろうか。
抽選に多数外れた人たちに対する事務所からの大盤振る舞い(!)と思うと、ありがたくて泣けてくる。
ということで、24日は朝からそわそわしつつ、万全の体制で、モニターの前で開始を待った。
以下、長くなりますが、ディスクが発売されるまで自分のための備忘録として、セットリスト順に記していきます。
さて、ライブは風さんの登場の仕方からしてサプライズ!
配信を見ていて、初めは何が何やら把握できなかったけれど、客席にひょっこり座っていた風さんのサプライズ映像はどうやら録画のよう (後日、種明かしされるかな?)。
皆に囲まれつつ通路をずんずん歩いて、客席の真ん中に置かれたピアノで ”Summer Grace" (Graceのピアノアレンジ)を弾く。
2021年のコロナ禍に行った、同じ日産スタジアムでの無観客の無料配信ライブを思い起こさせ、あれから3年経ったのかと感慨深かった。
あの時、「うちらは皆、だいじょうぶだから」といったようなことを風さんは言っていたけれど、3年後にこんな日が来るとはと、また泣けてくる。
今回の風さん、登場前半は、クリーム色のトップスにゆったりしたパンツ姿。
トップスの明るい色がレフ板効果を生んでいるのか、あるいは金髪のせいなのか、やけに明るく美しく輝いて見えた。
ピアノが終わると、ステージ上の巨大モニターに風さんが現れ、2曲目は新曲 ”Feelin' Go(o)d" 。
今回も舞台監督は、お馴染み山田健人氏。
モニター上の巨人のような風さんの映像は、ちょっと妖しく妙に生々しく、同時に、 ”Feelin' Go(o)d"の衣裳のせいか、ファンタジックで夢を見ているかのよう。
また、ステージのセットも凝っていて、🍃草木が生い茂るナチュラルな景色のなか、ガレージがあり、そこから風さんやダンサーが登場するという楽しい仕掛け。
”Feelin' Go(o)d" を歌い終わると、無言で微動だにせず立ち尽くす風さん。
ああ、これはマイケル・ジャクソンのオマージュ!
そこから続いていくのは、3曲目 "花"。
「あちいのに、ほんまにありがとう。だいじょうぶ?」
「どこにおっても、見てますから」
「皆もライブに来てるつもりじゃだろうけれど、わしも皆のライブに来てます」
"This is not my show, This is your show."
おれの音楽を聴いてくれ、じゃなくて、この場を皆で共有したいという想いが伝わるMCに、これこそが藤井風なんだよなあと、リアルにその場にいなくても、またまた泣けてくる。
そこからの流れで、4曲目は "ガーデン"。
「手拍子や指パッチンをしながらネガティブな感情を日産スタジアムの空へ投げて帰ってください」と、風さんらしいMCが入ってから、5曲目 "特にない"。
ここで「会いに行きます」と、電動自転車に乗って会場を回りながら6曲目 "さよならべいべ"。
自転車漕ぎながら歌うとか、負荷かかり過ぎでは?思うのだけれど、巨大なスタジアムで「どこにおっても、見てますから」を実践してくれたんですね。
ここで次の曲へのつなぎとして、テクノ(?) 風の ”CASTING CALL” が入る。
リアルタイムで見ていた時は、新曲?と思ったりしたけれど、繰り返される英語の詞
”Where have you been, I've been looking for you you you........”
は、"きらり"のなかの「どこにいってたの 探してたよ」の英訳なのだと、あとでわかった。
”CASTING CALL”というのも、キャスト募集、といった意味らしい。
山田監督のスタイリッシュな映像とともに......と、紛れもなくスタイリッシュなんだけれど、どこかでニヤリと笑いたくなってしまうのは、その過剰なカッコよさというか、笑ってしまう前のぎりぎりのカッコよさというか。
だいたい、風さんの内面の本質はこういうクールなカッコよさとは逆方向なんだけれど、それをあえてやらせてしまう、山田監督の遊び心。
昨年の埼玉アリーナの際も"きらり"の前に、サングラスをかけて気取った風さんの謎の映像があって、それを思い出したけど、"きらり"は、山田監督のなかでは、そういう位置付けの曲なっているらしい。
海外のアーティストのMVやステージも熱心に見ている山田監督ならではの映像だった。
”CASTING CALL” の音ーークセになりそうなこの音は、Yaffleさんの功績ーーと映像は、ここだけ切り抜いてYouTubeに残し続けてほしいくらい。
映像のなかに出てくる、黄色いクラシックカーは50年前に発売されたホンダのN360という有名な車なんだそう(こういう車を選ぶところ、山田監督の美的センスが光ってます)。
7曲目の "きらり"が終わると、ここから衣裳も変わり、シースルーのネイビーのブラウスに。
ダンサーも加わり、椅子を使用しての演劇的な要素もあって見応えがあった。
8曲目は "キリがないから"。
MVと同じスチームパンク風味のレトロなロボットが登場、それに合わせたダンサーのダンスも素晴らしい。
9曲目は "燃えよ"、こ3曲の流れは、疾走する青シャツの風!という感じ。
10曲目はバンドでは演奏したことがないという "風よ"。
そうそう、私が初めて行った2020年の横浜アリーナの時は、この "風よ" をサックスで演奏してくれたのだった。
曲調に合わせて、夕焼けの映像がとてもきれいだった。
11曲目も地味にバンドで演奏したことがなかったという "ロンリーラプソディ"。
参加した方がアップしてくれた映像で気づいたのだが、左右ふたつのモニターのうちの、左のモニターの風さんが、途中から歩き出すのだ(もちろん、録画)。
これも山田監督のアイデアなのか、誰もいないステージの上をひとりで彷徨い歩く映像で、孤独感を表現したすごい演出だなと思った。
そして、12曲目は横浜にちなんで湘南乃風の "恋時雨" の一部をピアノとともに。
13曲目は、赤っぽい照明に照らされて "死ぬのがいいわ"。
一昨年の紅白での "死ぬのがいいわ" は、赤と白の巫女っぽい衣裳のジェンダーレスな雰囲気で圧倒された記憶が未だに鮮明だが、その時の姿を彷彿とさせた(ゆったりしたパンツが袴みたいに見えたし)。
今回も紅白の時と劣らない妖艶さで、ドキドキしました!
次はガレージから、ジャズマンっぽい青のスーツで🎷サックスを吹きながら登場。
ガレージ内にあったカレンダーがちゃんと8月24日になっていることに、2回目の視聴時に気づく。
いろいろ細かくて、見る度に発見がある。
風さん、いつの間にかえらく大人っぽくなったなあ、などと思っていると、14曲目の "Workin'Hard"へ。
赤いツナギ姿の風さんがベルトコンベアーに流れていくWindyちゃんを検品しているシーンの映像が。
このビジュアルとダンサーたちと風さんのダンスも見事(これもあとで気づいたが、映像の風さんとダンサーの動きが見事に連動していた!)。
そのままの勢いで、15曲目は "damn"。
16曲目の "旅路" は、アレンジが今までにないテイストで面白かった。
90年代初頭のバンドブームのロックなんかの歌い方というのかな?
ブルーハーツとかの、ちょっと投げやりで青いけど、熱くて若い感じを連想させ、新鮮だった。
17曲目は "満ちてゆく"。
会場の皆がスマホのライトを点けて、✨満天の星空みたいでとてもきれいだった。
ジャケットを途中で脱いで肩にかけて、疲れたサラリーマン風に変身。
MVでも仕事が上手くいってないビジネスマンを演じてたから、それを表しているのかな。
というわけで、今回のライブは、ライブを超えてミュージカルと言ってもよいような、エンターテインメント感満載の演出。
曲の終わりには、なんと自分の墓標に寄り添うという、ちょっとしたドキッする演出。
墓標には、「Fujii Kaze 1997〜20 」と刻まれていたのだ。
18曲目は "青春病"。
ジャケットは脱いだまま、白いシャツにネクタイを緩めて、サラリーマンから制服をルーズに着た高校生風になる。
この辺の衣裳の流れは計算されたものだろうから、スタイリストさんのお仕事も素晴らしい。
青春病のダンス、特に「野ざらしダンス」はいいなあ。
「青春もあとちょっとで終わります。このライブもあとちょっとで終わります」というMCの後、メンバー紹介。
「まあ、どうせ何とかなります。何があっても。どうせ上手くいくんで、最後には」というMCも印象的。
「どうせ」の斬新な使い方、風語録集のひとつにしたい!
ということで、締めくくりにぴったりな19曲目は "何なんw"。
「皆がそのポジティブなパワーを持ち続けて、それをこの世の中に一緒にシェアしていくってことが大事なんで。マジで、うちら仲間として、そこんとよろしくお願いします」
皆、いい世の中にしようぜ、じゃなくて、「そこんとこよろしくお願いします」が風さんなんだなあ。
”何なんw” が最後かと思いきや、「苦しむことは一切ない、悲しむことは一切ない......次の曲やらんと、おれらの夏、終わらんくね?」と、20曲目は ”まつり"!
うんうん、やっぱり夏や秋開催のライブでは、「まつり」は欠かせないよね。
途中で、扇子🪭を華麗に使用するダンスのシーンもあり、和のテイストでとてもよかった(この青っぽい鮎柄の美しい扇子、京都の扇子屋さんのものとわかり、早速ネットでポチりました。着物に扇子は欠かせないので、よいものを探していたのです=8/30現在 売り切れとのこと......風効果、恐るべし)。
後半で花火も打ち上がり、華やいだなか、終了。
最後の最後にまた電動自転車に乗って、会場の通路を回り、皆に手を振る風さんでした。
⭐️まとめ⭐️
藤井風のライブは、2020年の横浜アリーナ、2022年の大阪パナスタ、2023年のさいたまアリーナと、3回参加したことがあり、どれも素晴らしかったが、今回の配信を見て、風はどんどん進化している!というのが率直な感想。
「きらり」のダンスなど、MVのなかの風さんのダンスと比べると、すごくキレが出ていて、もう、伸び代しかないって感じだ。
バンドメンバーも完璧、今回初めてコーラスが入ったのも厚みが出てよかった。
ステージ全体の演出も、コンセプトが明快になってきて、今回は風さんのガレージから楽しい人たち(ダンサーたち)が出てきて、それが美しい風景に囲まれてという、ライブ+舞台とミュージカルを観ているみたいだった。
エンターテインメント性と、音楽の芸術性と、両方兼ね備えていたライブで、どちらもそのクオリティが異常なほど高い、完成度の高いものになっていたと思う。
こんなに進化してしまったら、次、どうするのかなと心配になるけれど、ずっずさんのいるチーム風のことだから、心配ご無用なんでしょうね。
先にも書いたが、スタイリングもほんとに素敵で。
今回のライブのスタイリングを手がけたスタイリスト、tasuya shimadaさんのインスタグラムを覗いてみたら、さらにびっくり。
サスティナブルを意識して、前半のトップスはオーガニックコットンをコーヒーで染めて、裾の端に刺繍を施したとのこと(模様があることには気づいていたけれど、まさか特注で花が刺繍されていたとは)。
青いスーツは古いラオスの生地で、草木染め&金糸が織り込まているそうで、布好きの私には垂涎もの〜。
ネイビーのシースルーのブラウスも、ヘリンボーン織のリネンだそうで、ここまでこだわりがあることに感動。
サスティナブルでオーガニック、風さんの理念と合致するスタイリストを選んだということなんですね。
tatsuyashimada1984のインスタ覗くと、詳細がわかり、トップスの刺繍のアップも見られので、ぜひぜひご覧あれ。
スタイリングとは別のことになるが、ステージの下から吹く風も、風さんの髪や衣裳がなびいて、実にいい演出だったと思う。
暑さ対策にも多少はなったであろうし。
それから......「ルッキズムは避けたいので、風さんの容貌についてばかり、あれこれ言い過ぎたくはないけれど」という意見をXで随分見かけて、私もまったく同意だけれど、美しいものは美しいので、やはり皆と同様あれこれ言いたくなる!
今回のライブの風さんはジェンダーも超えて、👼天使か🧚音楽の妖精、あるいは菩薩なのか? ついに人間も超えた? みたいな気がしてしまった。
あまり神格化するのもどうかと思うけれど、会場にいた人からも「発光していた」という感想がたくさんあったので、それはもう、風さんの内面の魂の輝きが風貌に溢れ出てしまったのだと思う。
そして、配信のYouTubeのコメント欄を覗いたら、はたくさんのコメントが。
家族を亡くし傷心のなか、風さんの音楽に癒された、というコメントが多数あった。
清掃の仕事をしていて人から馬鹿にされて傷ついていたけれど、Workin'Hardを聴いて励まされた人。
ライブに行くには金銭的にカツカツで大変だったけれど、生きててよかったというシングルマザー。
孫にライブに連れて行ってもらい、「死に土産」と言いつつ楽しんだおばあさん(いやいや、死に土産じゃなくて、これからの生きる糧にしてくださいという感じ😊)。
つらい現実のなか、藤井風の音楽に救われている人がたくさんいることに、今更ながら気づいて、感動している。
Xに流れる、比較的若い人の想いとはまた別な印象を受けて、Xをやっていない人はここに直に書くのかもしれないと感じた。
風さんの海外のライブに遠征する人も多くて、時間とお金に余裕のある人ってたくさんいるのだなあと羨ましく思ったこともあったし、今までリアルで参加したライブも買ったばかりのグッズを身につけた、若くて可愛らしい人ばかり目についていたので、実はこんなにも多くの世代や様々な層に愛されているのだと、あらためて思い直した。
自分自身も、風さんの親世代で、幅広い世代の一部を形成しているひとりなんだけどね。
このコメント欄は残してほしいなあ。
配信が終了しても映像の一部だけ残して、コメントはすべて残るようにしたら、風さんにも励みになるんじゃないかしらと思ったり。
大袈裟に神格化する気はないが、藤井風の音楽によって多くの人たちの魂が救済されているのは事実だし、そういう役目をもってこの世に生まれてきたのだと思わざるを得ない。
私も同じ時代に生きててよかったと、心から思っている。
最後に、ステージにあった"FUTURE"と"PAST"という文字の標識も印象的だった。
今行われているこのライブがまさに "NOW” だから、今を楽しんでね、という想いにも取れたし、同時に過ぎ去った過去にとらわれることなく、未来の、将来の不安に思い煩うこともなく、「今」に生きてねーーどうせ上手くいくんで、最後にはーーというメッセージにも思えた。
愛に溢れた、素晴らしいライブの配信をありがとうございました!
🌟あとあと、シングルの曲も溜まってきたことだし、風さん&ヘンレコ様、3枚目のアルバムの発売をぜひぜひ何卒どうぞよろしくお願いいたします!
ここから9月10日追記 ”CASTING CALL”について
文中で謎の ”CASTING CALL” について書きましたが......藤井風ファンの erinadi さんのブログを読んで、なるほど!と思いましたので、こちらにリンクを貼らせていただきます。
erinadi さんによると、あの ”CASTING CALL” は、「"ハイヤーセルフ"と"わたし"」の出会いを描いたものとのことで、その解釈を読んで目からウロコ。
「満ちてゆく」の最後に出てくる墓標にからめて、人生を俯瞰で眺める風さんの視線や、 ”CASTING CALL” の衣裳とUSツアー以降のアーティスト写真の衣裳の一致など、深い考察に満ちています。
「山田健人監督の遊び心」も入っているだろうけれど、もっと深いものがありそうです。
”Where have you been, I've been looking for you you you........” の詞をもってきたということが、確かにそれを表していますよね。
と思うと、その解釈以外は考えられず、クールでスタイリッシュで、ちょっと面白いなかに、随分と深いものを放り込んできたなあと感心したのでした。
自分の見方は浅いなあ、なんて思いつつ。
と思っていったら、6日にマネージャー河津氏ことずっずさんのダイアリーがアップされて...... ”CASTING CALL” について、以下の発言が。
山田さんお気に入りだった「CASTING CALL」というワード。どこかのタイミングの打ち合わせを聞き逃した私だけが意味をわかっていないもんだと思い込み、誰にも意味合いを聞けずに本番を迎えていました。落ち着いた今、隣にいる風さんに聞いてみたら、「あれの意味はわしにもわからん。山田のみぞ知る」と言われました。笑
ええーっ、一番身近にいたずっずさんでさえ、意味をわかっていなかった、さらに驚きは、風さん本人でさえも「わしにもわからん」だったとは!!
あれこれ憶測したりしてざわざわしていたファンと同じ次元だった!?
ガクッと力が抜けるけど、周到に準備され、”意味”を込めたものではなく、山田監督の勢いと感性で突っ走って作って、意味もわからず風さんもそれに乗って演じたのだと思うと、むしろすごい気がしてくる。
でもでもやっぱり、山田監督は本人にも周りにも何も言わず、「"ハイヤーセルフ"と"わたし"」的な意味を込めたんじゃないかなあ。
CALLされているのは、風さんであったり、大勢のスタッフであったり、そしてファンである私たち一人ひとりであったりするのかもしれない。
そんなふうにあれこれ想像するのが楽しくもあるので、「山田のみぞ知る」のままできっとよいのでしょうね😉